木ノ本

木ノ本

真っ暗闇。
関ケ原の山の中には、灯さえもなかった。
東京から伊根に向かう道、あの暗闇の中で何を見たのだろうか。
あの時ただひたすら、「私」という対象を見続けていた気がした。
対象それ自体だけで論理的に「私」は提示は出来るのだろうか。
対象それ自体で提示した「私」は、時間との対象化に相異を生む事はないだろうか。
「私」という対象は、関係でしか論理的に提示する事は出来ない、何故なら、推移対象としての時間との関係があるからだと問い続けていた。
次第に明るくなる山道。
朝が明けて、最初に着いた街が木ノ本だった。
旅の宿が連なう小さな街、まだ、人々の朝は始まっていなかった。
柔らかな光に包まれた朝だった。
北陸本線の始発に乗る人が木ノ本駅の中に消えて行った。
何度か通っていた筈なのに、私にはこの駅には何の記憶もなかった。
なんていう刹那だろうか。
「私」は過去にいた筈なのに、過去に見いだせない「私」。
過去との関係がない今の「私」がいた。
「私」はいるのに、関係の提示が出来ない「私」。
だから例え「私」が思っても「私」がいない、そういう場合もあるかもしれないと感じた。
それが、時間推移対象性との関係であり、問題だ。
「私」は、関係でしかない。
「私」は、「私」、変わることはない。
その対象性は、対象間との変異関係にすぎない。
だから、推移対象性を関係提示されるだけだ。
提示されるのは現象だ。
ヨーロッパにあのままいたら、たどり着けなかった気がした。
対象と時間推移性は、ヨーロッパでは分からなかった。
何故なら、そこにこそ問題があるからだ。
問題にはあの頃気付いていた、けれど、そこから先は矛盾を抱えたままで同じように解釈しようとした気がした。

去り際、この北陸本線は何度なく使っているのに、何故この木ノ本を通った記憶がないのか考えてみた。
多分、地元の人を乗せたローカル線の中、人々の声に心地よくなり、居眠りでもしていたのだろうと思った。
そして、きっとその夢の中で出会っていたのだろう、だからこの街に辿り着いた。
木ノ本を後にした。
朝の光の中、また来るねと心の中で呟いた。

2026年10月31日 東京 

木ノ本

真っ暗闇。
関ケ原の山の中には、灯さえもなかった。
東京から伊根に向かう道、あの暗闇の中で何を見たのだろうか。
あの時ただひたすら、「私」という対象を見続けていた気がした。
対象それ自体だけで論理的に「私」は提示は出来るのだろうか。
対象それ自体で提示した「私」は、時間との対象化に相異を生む事はないだろうか。
「私」という対象は、関係でしか論理的に提示する事は出来ない、何故なら、推移対象としての時間との関係があるからだと問い続けていた。
次第に明るくなる山道。
朝が明けて、最初に着いた街が木ノ本だった。
旅の宿が連なう小さな街、まだ、人々の朝は始まっていなかった。
柔らかな光に包まれた朝だった。
北陸本線の始発に乗る人が木ノ本駅の中に消えて行った。
何度か通っていた筈なのに、私にはこの駅には何の記憶もなかった。
なんていう刹那だろうか。
「私」は過去にいた筈なのに、過去に見いだせない「私」。
過去との関係がない今の「私」がいた。
「私」はいるのに、関係の提示が出来ない「私」。
だから例え「私」が思っても「私」がいない、そういう場合もあるかもしれないと感じた。
それが、時間推移対象性との関係であり、問題だ。
「私」は、関係でしかない。
「私」は、「私」、変わることはない。
その対象性は、対象間との変異関係にすぎない。
だから、推移対象性を関係提示されるだけだ。
提示されるのは現象だ。
ヨーロッパにあのままいたら、たどり着けなかった気がした。
対象と時間推移性は、ヨーロッパでは分からなかった。
何故なら、そこにこそ問題があるからだ。
問題にはあの頃気付いていた、けれど、そこから先は矛盾を抱えたままで同じように解釈しようとした気がした。

去り際、この北陸本線は何度なく使っているのに、何故この木ノ本を通った記憶がないのか考えてみた。
多分、地元の人を乗せたローカル線の中、人々の声に心地よくなり、居眠りでもしていたのだろうと思った。
そして、きっとその夢の中で出会っていたのだろう、だからこの街に辿り着いた。
木ノ本を後にした。
朝の光の中、また来るねと心の中で呟いた。

2026年10月31日 東京

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